グルメコーナー
二子新地 中華料理店「蓬莱」

二子新地駅
改札を出て右
徒歩3分

試合結果> <スライド


 私は見た。店のおばちゃんが小皿に入ったスープを半分以上をこぼしつつも、隣の席の客に、さも何事もなかったような満面の笑みで出していたのを……。
 我々のビールが届く前にそんなマイッチングなハプニングが起きつつ、少なくとも私個人は動揺していた。自分を落ち着かせるためにも、おばちゃんに「気にすんなよ」風味に笑いかけてみたが、絵に描いたような苦笑いを繰り出してしまったことに嫌気がさした。

 華料理店「蓬莱」は、冷麺の本場盛岡から取り寄せた、産地直送の冷麺を食べさせるのが最大の売り。と思われるのだが、店内に掲げられた「冷やし中華 始めました」のコピーに並んで「盛岡冷麺 も始めました」とある。“も”って! このついで感と言ったら、コンビニのレジ脇においてある的はずれな和菓子以上についでだ。

 すべてが不安から始まったが、待ちに待ったビールで乾杯。かぶりつくようにジョッキに口を運び、乾いた喉に一気に流し込む。「プワァァァl! う……旨い!」、試合に勝っていたらこれ以上に旨い酒が飲めるのかと思うと、闘争本能に烈火のごとく火がついた。
 続いてギョーザ、チャーハン、かに玉などが次々テーブルを埋めていく。始めの心配とは裏腹に料理は旨かった。ギョーザのパリッとした皮をガブリとやると、ジューシーな肉汁とあいまった酢醤油が、口の中で見事に競演する。すべての料理の予想外の旨さ。皆は酒と会話とで、しばし甘美な陶酔に浸った。

   ひとしきり酒も飲み、腹も満たされ、思い出話や今後のチーム方針などをまったりと語っていると、ゴローさんが「盛岡冷麺」を注文。またすごいタイミングで食い物を注文する人だ。しかも売り切れときた。午後2時の段階で売り切れるとは、午前中にものすごい冷麺マニアが殺到したか、店内の張り紙のごとく、いまいち自信のないメニューだったかである。中華料理店「蓬莱」。まだまだ奥が深そうだ。

(05.9.17 本紙・涌井)

☆戻る