10/9/18 大ど城戦

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■9月18日(土)大ど城戦

 ケータイに着信があったのは、真夜中だった。
「Hくん、『城』のMちゃんが至急電話がほしいって!」
 かけてきたのは、なじみの飲み屋のマスターだ。なぜ、こんな時間に? 夜中の“至急”電話はよくないことに決まっているが、『城』のMちゃんからよくない電話がかかってくるというのも、おかしな話である。
 とりあえず『城』に電話をしてみる。
「ああ、Hくん? 明日、野球だから、よろしく」
 えっ。明日って、つまり今日なのでは?
「いきなりなんなんですかー。だいたい人数はそろうんですか?」
「あー、大丈夫、大丈夫、大丈夫だから。とにかく17時、松ノ木。じゃあね」
 電話は勝手に切れてしまった。

 その数時間前。WINSエースと事務局Gの会話。ちなみに家電(カデンではない、イエデン)ホットライン。
「おい、事務局。明日はもうダメなんじゃないか? せっかくムラケンが球場をとってくれたのにもったいないが、相手チームいないんだろ? だいたい自分のチームさえ人数がそろってないじゃんか」
「まー、そうなんですけどねー。でもー、みんなやる気ですよー」
「やる気っつったって、どうやって試合を成立させるんだよ!?」
「いやー、そのー、『城』のマスターにも電話しましたし、どグサレはもちろん、大吉コモドアーズにも『何人でもいいから』ってお願いしてあるんですよー。とりあえず、WINS対城、大吉、どグサレ混合軍ってことでなんとかなんないでしょうかねー」
「わー、そりゃ自分勝手な!! とにかくWINSが野球やりたいってんで、相手をかき集めちゃうわけ!?」
「大丈夫だと思いますよー。みんな野球やりたいんですからー」

 そして当日。
 なんとぴったり18人そろった野球バカたち(無理やり参加含む)。
 WINS自身も人数が足りず、さわやかサラダ一家が、現役ボクサーという強力助っ人を引き連れてくる。さらに、草野球ユニフォームを最低3チーム分は持っているという、わけあって名前を出せない某新人も急遽参加。
 で、相手チームは……。
 新宿狭域飲食団『城』系6名、どグサレ系2名、そして大吉系1名(!)という構成員。
 うわー、いくら勝手知ったるWINSの試合とはいえ、混成チームにひとりでカチ込む人間の気持ちは!?
 “悪酔い人間国宝”海老蔵ばりのふだんの言動とは異なり、意外にナイーブなWINSエースにはとてもできないことである。まあ、事務局Gはそんなことまったく気にせず、混合チームだろうが知らない人のパーティーだろうが、なんでも参加して楽しんでしまうのだろう。その自分標準でいろいろやるから、便利だがフォローも大変だ。
 たったひとりでやって来てくれたのは、テンガロンハットの弾き語りストTくんでもなければ、『大吉』マスターでもなくWINSエースの同級生Oでもなく、大吉コモドアーズの大エースYくん。

 ようやく試合が始まった。
 こちらの先発はサラダ一家の若頭サラダ投手。そのまんまだ。いきなり相手を二飛、三振、三振に切ってとる、試合成立の情状をまったく考えない完璧な立ち上がり。……ふだんそんな投球してないだろ、おい!!
 その裏。相手先発は大エースYくん。今までの対戦で、WINSはまるでYくんを打てていない。だがこの日は違った。なぜか打ちまくるWINSナイン。一番を任された助っ人N選手(現役ボクサー)が3安打と爆発したのに乗せられたのもあるし、相手混成チームの守備の乱れもあって微妙に安打扱いになったケースも多かったのもある。
 しかし、初回、2回で8点って!!
 Yくんの名誉のために記しておくと、たとえば、あの得意の左投げからくり出される牽制からランダウンプレイになり、あっさりチェンジ……と思ったら野手が落球、そこから失点というような、草野球的には記録に残らないプレイがいくつもあった。
 それでもおだやかな表情で投げ続けたYくんは、さすが。
 WINSは今度の大吉コモドアーズ戦で、本当に彼を打ち込んでこそ、恩返しになるというものだろう。

 一方のサラダ投手。なんと3回を四球もなく終えるパーフェクトピッチング。WINSベンチは異様な空気に包まれる。誰ひとりサラダ投手に声をかける者はいない……?
「おーい、大変だ、完全だよ完全!」
「どうすんだよ、エラーもできないよ! 嫌だよ、こんな草野球! 早くヒット打たれてくれよ!」
 めちゃくちゃ声かけてる。なにしろ9人ぴったりしかいないから、うまい具合にベンチに下がって、のんびり観戦というわけにもいかない。
「ムフフフフ……」
 怪しげな笑いのサラダ投手。ひそかに狙っていると見た。
 そして、4回表も先頭を三振、次打者をピーゴロに切ってとる。
 うわー!! 本当に嫌だよ、こんな草野球!!(笑)
 ところが。
 カキーン!! 見事なセンターオーバー、いや、今日は世界一低いところから守るあの選手が中堅を任されていた。ワンバンでセンターの頭上を抜ける二塁打!! ありがとう、相手チーム!!
 その後、WINSエースが守っていた一塁へのかなりエラー度合いの高いヒットなどもあり、大ど城(だいどぐすく、と読む)チームに3点が入る。

 さらにその後登板した名前を出せない新人。ストライクが入らず、あっさり3点を献上し(試合に至る情状をよく理解していたということか)、9対0の大差ゲームが気づいてみたら10対6までになっている。
 なぜか、ほっと胸をなでおろすWINSエース。近くに若い女性でもいれば、その人の胸をなでおろすところなのだが。

 最終的には10対7の試合。集まってくれた『城』、大吉コモドアーズ、どグサレ球団のナインに感謝。サンキューベリー、ベリー、ベリーマッチだ。あっ、こういう小ネタをはさむと、10年後20年後『ヨンスポ』を読む人が、時系列をこんがらがらせてしまうかもしれない。

   ちなみに、試合後の反省会。なぜかWINSナインはみな帰宅、西永福のちゃんこ屋で鍋を囲んだのは、WINSエース、どグサレ湯一路選手、カトー選手、そして冒頭に登場した『城』のHくんだけだった。
 そんなんでいいのか、WINS!?
 とりあえず、新宿三丁目の沖縄料理店『城(ぐすく)』(GSKと呼んでも可)、ゴールデン街『大吉』には、足を向けて寝るわけにはいくまい。
 『城』はたしか毎年のように年末年始も営業、『大吉』も今年の正月はTくんが店を開けるとか。
 そこんとこよろしく。

ペン=本紙エース


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