12/2/11 中野マシンガンズ戦

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■2月11日(土)中野マシンガンズ戦

 きちんとした記録が残っている2005年以来、地球温暖化の影響もあって、われわれWINSの開幕はつねに1月、しかも最低2試合は消化していた。
 まあ開幕といっても、閉幕が毎年12月23日の紅白戦なので、年がら年中試合をしている貧乏ヒマなし野球ともいえるWINSではある。
 しかし、今年は1月に予定されていたゲームが雪の影響で中止になり、ようやく迎える開幕が、この2月11日(土)の中野マシンガンズ戦である。
 昨年はめでたくゴールインした選手も2人おり(WHO選手&村ケン選手)、嫁の実家への挨拶まわりなどでみんな忙しかったと思われるが、40代後半にもなって独り者、プロ野球関係の内職もシーズンオフだった某事務局Gは、どうしていたんだろう。
 あんまり試合がないと、ひょっとして孤独死? という心配もしてしまう。
 ちなみに、テレビでデーブ・スペクターが「いろいろな人がいるのに、すべて一緒に孤独死という呼びかたをするのはよくない」と語っていた。
 心優しき常識人である。
 しかし、孤独死という呼びかたも、否定的な文脈で語るからおかしいわけで、事務局Gはもともと、スパ王を食べるのも、池袋新文芸座に行くのも、オナニーをするのも、なんだってひとりでやっているのである。
 ついでに言えば、相手チームを探すのもひとり。そんなことも知らず「相手が強すぎるのでは!!」などと注文をつける選手たちよ! ……以下省略。
 とにかく、そんなGがたとえひとりひっそり死んでいても、それは誇り高き孤独死、いっそ孤高死と呼んであげたいところである。
 なつかしの、ひとり東京タワー!!(意味不明、現・ひとり東京スカイツリー)
 そして試合が始まった。
 2012年の開幕投手は島ブクロー。
 初の開幕投手という緊張のためか(たぶんないと思う)、いきなり四球3、死球1、被安打2という乱調で4点献上。まあ、途中、なんでもないゴロを味方がエラーするという不運もあった。
 しかし、その裏。助っ人・湯一路選手がいきなりセンター前にクリーンヒット。さらに、ノクティの一匹狼ならぬ一匹モンキーこと事務局Gが、同じく快音を放って続く。それぞれ盗塁も決めて、無死二三塁の大チャンス!
 ここから、昨年3割6分と打率チーム2位の島ブクロー、同じく年間MVPコサッキー、同じく本塁打王のH2選手へと続くクリーンナップである。
 誰もが最低でも1点、あわよくば逆転まで頭に描く場面だ。
 しかし……。
 自分のバットで返したい島ブクローは、微妙な判定もあって見逃し三振。
 さらにコサッキーは、MVPの賞金で会員権でも購入したのか、激しいゴルフスイングでサードフライ。あっと言う間に、二死。しかし、まだ二三塁。ここで五番がランナーを返せば、三番四番の凡打も目立たなくなり、それがチームの結束をさらに固めるのだが……。
 H2選手は、快音を残したものの、相手外野手がいいところに守っており、センターフライ。絶好のチャンスを生かせず。
 調子を取り戻した島ブクローは2回表を無失点で終えるが、2回裏にまたしてもWINSを不運が襲う。
 先頭の助っ人・カトーさんが相手エラーで出塁。
 ここでバッターは2011年、あげまんパワーで首位打者を獲得したWHO選手。あげまんパワーは2012年も威力を発揮、センター前へ鋭い打球が放たれた。
 これで、またまた無死一二塁!!
 ……と思ったら、あれ? あれれれれ?
 一塁ランナーのカトーさんが、まだセカンドはるか手前を走っている。
 セカンドで封殺。
 あげまんパワーの威力過剰で打球が鋭すぎたのか、先ほど相手エラーで必死に走ったカトーさんがそこで力尽きていたのか。
 後続も倒れ、またまた得点できず。
 「今のヒット1本損したのでもし今年首位打者に届かなかったら、そのときはお金で解決するよー」とカトーさん。
 WINS今季初得点は5回裏。
 打撃妨害で出塁して盗塁を決めた村ケンを、この日遅れて来て十番打者に入った、さわやかサラダ選手がレフト前ヒットで返す。
 WINSの継投もうまくいっており、5回裏終了時点で1対5。
 残り2回、まだまだ行ける。
 だが6回表、エラーが2つからみ、またも相手に1点献上。1対6。
 しかししかし、6回裏WINSの攻撃にドラマは待っていた。
 先頭のGこそレフトフライに倒れるものの(これは相手の好守備だった)、そのあと島ブクローの三塁内野安打、コサッキーが相手エラーで続き、さらにH2選手がデッドボールで一死満塁の絶好機。
 野球は何が起こるかわからない。
 そこでカトーさんが、はやる気持ちを抑え押し出しの四球を選んで打点1。
 さらにドラマは続く。
 一死満塁のまま、バッターは先ほどヒット1本損した、あげまんパワー男。
 広くとったスタンス。しらふのときの小さい声小さいバッグ、すぐ濃くなる頬のヒゲからは想像できない、つねに一発狙いのフルスイング。空振りも多いが、当たれば意外に強い打球があらぬ方向に飛んでいく。
 そして。
 ここでも、左打席からくりだしたバットから、顔も体もライト方面に向いているのに、真反対へ飛んでいく低い打球!
 スライスのかかったその打球は、三塁手のグラブをかすめ(股の間だったか?)、レフト線上を転がっていく。これはもう、あげまんパワーは本物か!? 
 二者が生還、4対6。
 ちなみにカトーさんは、やっぱり返って来れなかった。
 後続は倒れたものの、勢いはもはやWINS。
 7回表にまたしても1点取られるが、まだまだ。
 時刻はすでに13時50分を過ぎ、本来ならトンボかけなどをしなければならないところだが、次の時間に向けて待機するチームは見えない。審判も「次がいないようですから、最終回だし、やりましょうか」と両チームに声をかける。
 そこでドラマは再び起こった。
 「……次、いますよ」
 見ると、一塁側ベンチとバックネットの間に、ひとりの青年。
 たったひとりで、まさか孤独野球?
 とにかく、ひとりでも次に借りている人がいれば、グラウンドは使えない。
 ここで時間切れ、ゲームセット。
 公式記録は6回裏まで、結果は4対6で開幕戦を勝利で飾れず。
 ああ。
 「……次、いますよ」のあとに、同じ草野球人として「でも、みんなまだ来ていないので、どうぞ」と言ってほしかった。
 ベンチに下がっていたカトーさんがその青年に「これで、なんとか頼むよ」と、そっと1万円札を握らせる手もあったような気がするのだが、どうか。

ペン=本紙エース


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