14/8/16 ブーザーチンパンジー戦

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■8月16日(土)ブーザーチンパンジー戦

 主要メンバーのUターン就職、仕事多忙、育メン、病気療養、金欠……などなどあり、人数の集まりにくい最近のWINS。
 しかし、その金欠メンバーのひとり、事務局Gがついに決断した。
 みずからの勤める工場のお盆休みのうちになんとか試合を組まなければ、当分野球ができない!!
 メンバーがわずか7人しか集まらないのに試合を申し込むという、まさに見切り発車。しかもその7人、自分で言うのもナニだが、なんとも微妙なメンバーだ。
 レギュラーポジションのある選手は、55歳の初老エース古矢に、素人童貞キャッチャー事務局G(本名/ゴロー)。
 横っとびは得意だが縦方面の打球、とくに頭上の打球にはめっぽう弱い(背が届かない)セカンド、愛称“コアラくん”ことMASA。
 とにかく自分の立ち位置に来た球は捕るがそれ以外は微動だにしない、エポック社野球盤型ライトのカトーさん。
 とくにサード、ショート、センターあたりを守る選手がいないのが痛い。さらにいえばファーストだって守れる人間はいるのか。……そもそも7人だし。
 そこでひと肌脱いだのが、“人買い”との噂もある島田選手である。
 「ふたり連れていっていいですか〜」
 いいとも!!
 元気な声でそう答えたのは言うまでもない。
 しかし事務局Gは貪欲だ。いつもの試合前日ホットラインでエースと密談。
 「真夏だし、9人ジャストじゃ危ないっスよね〜。コモドアーズの入江ちゃんにも声をかけてみましょうか」
 「おう、『試合のあとはとことんつきあうから来てくれ』って伝えて」
 そんなやりとりをしたのちWINSホームページを開くと、わがチームで数少ない、というか唯一の高校大学硬式野球部所属選手・本木、超久々の「参加します!!」宣言。
 この男はつい先日、大学野球部で同期だった読売ジャイアンツ古城茂幸選手(2013年に引退)の単行本を共著で上梓したばかり。
 そうか、自分の書いた本を持ってきて、みんなに無料で配るつもりなんだ。きっとそうだろう。そうに違いない。
 とにかく、入江くんの助っ人参戦も決まり、11人がそろった。これでサードもショートもセンターもファーストも安心だ。それどころかエースの出番さえないのでは?
 そんなこんなでようやく試合がはじまった(いつものようにイントロが長いだけ)。
 試合前の更衣室で「ぎゃはははははは、こんなにいいメンバーが集まっちゃって、自己評価1から1・5って相手に言ってたのに、どうしましょうか。大勝ちすぎちゃったりして、ぎゃははははは」というGのバカ丸出し発言もちょっと気になり、先発はいつものように自己評価1〜1・5に見合う、初老エース古矢。
 ただしこの初老エース、初顔にはわりと強い。
 1回表、助っ人センター丹羽選手、同じく助っ人サード武井選手の好守に救われ、相手の攻撃を3人で終わらせる特上の立ち上がり。
 そして1回裏。助っ人入江選手が三塁内野安打で出塁。すかさず盗塁を決める。丹羽選手のサードゴロのあいだに三進。いきなりノーアウト三塁のチャンス。
 ここで打席に、初著書の評判も上々で機嫌をよくしていると思われる、三番・本木。小柄ながら、さすが硬式野球部出身、いかにも打ちそうな構えだ。しかし、そこに落とし穴もある。
 相手投手に警戒されすぎてフォアボール。
 続いてバッターボックスに武井選手。この男も高校硬式野球部時代に四番を張っていたという、上背こそそれほどではないが、いかにも強打者体型の選手。たとえて言うなら、広島カープの中崎投手? いや、旬ということで言うなら、大阪桐蔭から西武ライオンズに入り、3試合連続ホームランを放った森友哉捕手か。
 しかし、ここもやはり警戒されすぎたのだろう、連続フォアボール。
 一死満塁。
 大きなチャンス、チャンスではあるのだが。
 「相手チームが『この三、四番に打たれたらしょうがない』って言ってましたよ〜。じゃあ、五番の俺はどうなるんだって!!(笑)」
 試合後そう語っていた、今日の五番は人材派遣のプロフェッショナル島田選手。
 「強力助っ人を連れてくることで、俺のレギュラーが確保されているんですよ〜」
 大きくうなずく一同。
 五番の意地を見せ、なんとかサードゴロで1打点。先取点奪取だ。
 二死とはなったが、さらに二三塁のチャンスが続く。打席には、WINS最年長の56歳にして今季チーム最多安打を放っているカトーさん。
 ここで相手投手がワイルドピッチ。暴投というとエラー感が強いが、ワイルドピッチというとなんか荒々しくてかっこいい。
 キャッチャーミットに弾かれたボールが一塁側にわずかに逸れる。
 猛然とホームに走り込んできたのは、本木だ。相手投手がカバーに入る。タイミングは際どい。セーフかアウトか!?
 「セーフ!!」
 CHAGEと清原和博を足して3で割ったような審判が大きくコール。
 本木の、よく言えばアグレッシブな、よくなく言えば今季最多安打中のカトーさんの打撃を信じていない走塁が功を奏し、初回2点。
 ちなみにカトーさんは見逃し三振。
 2回表の相手の攻撃。いきなりの連続ヒットで無死一二塁。いや、二三塁だったか。
 しかし、ここから初老エースが圧巻の投球を見せる(自画自賛)。
 次打者にボテボテのピッチャーゴロを打たせ1アウト。ここで二三塁になったのかもしれない。
 さらに次打者をゆるいカーブで見逃し三振に切ってとる。相手チームスコアにはなぜか“飛”となっているが、ここは三振だ。
 「カーブ、カーブゥゥゥ!!」
 ショートから本木が大声で叫ぶ。
 これは「いいカーブだった」という意味なのか、それとも「みんなにはただの遅球にしか見えないかもしれないが、投手本人はカーブを投げているつもりなんだよ」という解説なのか。
 まあいい。最後はファーストフライを入江選手がしっかり捕ってチェンジ。このピンチをうっかり乗り切ったのは大きかった。
 しかし、2回裏からの相手チーム先発はもっと圧巻だった。
 速いストレートと切れ味鋭いスライダー。荒れ気味の制球がかえって打ちづらく、WINSは内野ゴロと三振の山。守備も堅い。
 「おいおい、これで1から1・5かよ〜」
 相手の自己申告も1〜1・5と聞き、ベンチで愚痴るWINSナイン(とくにオリジナルWINSのMASA、村ケン、村上1号ら)。まあ、日本人的謙譲の精神からなのか、これはよくあること。
 一方、WINSエースは3回の一死二三塁のピンチもショートゴロ2発で乗り切った。打たせた場所がいい。ちなみに2回のピンチでは失点を覚悟していたが、ここは「抑えたい」と思っていた。
思っていたからといってどうなるものでもないが。  本日投手王国のわがチームは、4回からスパッと武井投手に交代。
 ゆるい球でカウントを稼ぎ、あるいは適度にヒットを打たせ、しかし要所では味方捕手さえたまげさせる掟破りの重い速球で空振りをとるという、味な投球で3回をみごとな無失点投球。
 6回表を終わった時点で2−0という僅少差。WINSも初回に2点取ったあとは、前述のように内野ゴロ&三振の山で、2〜5回のヒットは本木の2塁打1本のみ。しっかりしろよ、とくにオリジナルWINS!!
 しかし、その声に応えるように、6回裏の先頭Gが四球を選び、すぐさま盗塁。さらにワイルドピッチで三塁に進み、ノーアウト三塁のチャンス。打席は、すでにベンチに下がりDHとなったエース古矢。3−2のフルカウント。
 相手ピッチャーの投じた球は、外角のストレート……と思ったら低めのボールゾーンに曲がっていくスライダーだ。おっとっと。体はすっかり開いたものの、なんとかバットを合わせると、打球は前進守備のセカンドの頭上をフラフラと越えた。
 やったね!!
 試合終盤、ほしいところで貴重な1点が入った。続く入江選手のカウントが3ボールノーストライクになったところで、盗塁。当たり損ないのピッチャーゴロの間に三進。
 ここで二番に入っている強力助っ人・丹羽選手登場。本日はセンターで好守備を見せていたものの、前の二打席は引っかけぎみで2つのサードゴロ。しかしこのチャンスでは、素晴らしいセンター返し!!
 さすが。
 これで4−0。
 最終回はストッパー本木登板なので、試合は決まったかに見えた。
 ところがさすがに相手も黙って引き下がりはしない。一死から死球、レフト前ヒット、センター前ヒットと続き満塁のピンチ。
 「おーい、満塁ホームランで同点だ!!」
 なぜかその声はWINSベンチから発せられた。
 「嫌なこと言うなあ」
 審判がそう言ったとか言わなかったとか。
 叫んだのは初老の某人物。左打者だったので、もし単打でも、バウンドした打球が頭を越えていったりしたら本当にホームランになりかねないと見て、WINSエポック社野球盤型ライトに注意をうながしたのである。
 たぶんライトを守っていた人物は、そんなことは気にしていなかったと思うが。
 ここは本木がナイスピッチで三振奪取。
 しかし、二死となったもののまだ満塁。打席には好投を続けていた相手ピッチャー。これは手ごわいだろう。
 と思っていたら、レフトファウルグラウンド、というか高い金網の向こうの駐車場まで届く大きなファウル2つ。ファウルボールを探しに行っている間に試合終了だ。
 時間的にいって、たぶん勝ったんだろう。
 「勝った?」
 「勝ちました。でも、1点取られました」
 4−1。
 草野球とは思えないナイスゲーム。もちろん、強力助っ人3人が参戦してくれなかったらどうなっていたか。この炎天下、負けただけではなく死人が出ていたかもしれない。勝敗、生死は紙一重である。
 しかし、なんとかWINSはがんばった。
 試合後、意外に飲む場所のない昼下がりの三軒茶屋を、ベソをかきながら彷徨したナイン。やっと入店できた『日高屋』で飲んだビール、食べた餃子のうまかったこと。
 いい大人がそろって『日高屋』かよ!!
 さらに2軒目は、となりの『村さ来』。
 大学生か!!
 2軒目最後までつきあってくれた某強力助っ人が言った「……楽しいチームですね」のひと言もうれしかった。たとえ「強いチームですね」とは言われなかったとしても。
 ところで、本木は著書をみんなに配ったのだろうか。

●ペン=本紙エース


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