11/3/5 GENERAL戦

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■3月5日(土)GENERAL戦

 3月5日。
 われわれがまだ、何も知らないよい子ちゃん、世界は永遠に続いていくと信じていた頃のことである。
 今季の成績、1分4敗という泥沼にはまり込んでいた野球チームがあった。
 四ツ谷WINS。
 なんだー、オレたちか。
 それにしても長いトンネルだ。もちろん、今までもシーズン途中にはそんなこともあっただろう。しかし、開幕試合が2対5、2試合目が7対7、3試合目が4対5、そして5試合目が11対14と、シーズン開始からのこの長いトンネルはWINS史上初めてではないだろうか。
 オレたちはもうダメなのか……。
 そんな思いの中、6戦目のこの試合、GENERAL戦に集まったのは、13名の選手。相手チームGENERALは(ちなみに相手には敬意を表しつつ、チーム名には敬称はつけません。変だから)、以前確か、こんな雨の中でやってるのは本当のバカか野球バカしかいないだろうという豪雨の中、どさくさにまぎれて勝った相手だと記憶している。
 そして、♪とどろく叫びを耳にしてby帰ってきたウルトラマン〜かどうか、巨人の古城選手と大学野球部でショート争いをしたという本木選手も参戦。
 必勝体制は整った……かに見えた。
 監督&キャプテン不在の中、当初はあの世界一低い位置から投げる渡辺俊介投手よりさらに低いところから投げる男、MASA先発という奇策中の奇策も噂されたが、当日の監督代行は、長年エースの二番手を黙々と続けてきたゴロー先発という奇策を選ぶ。
 けっきょく奇策か!?
 その思いに応え、ゴローは1回2回をのらりくらりと1失点で凌ぐ。
 しかし、相手投手はもっとすごかった。1回2回で5四球と大荒れながら、塁が埋まったところをどちらも併殺で切り抜けるという試合巧者ぶり。
 そして3回。試合は動いた。
 先頭打者がゴローの球を強烈な流し打ち。ボールはライト村ケンの横を抜け、悲しいほど遙かかなたへと転がっていった。
 神宮名物、ランニングホームラン。草野球場のまわりの露店で『名物 ランニングホームラン焼き』でも売ったら、儲かるのではないだろうか。
 ここでベンチを温めていた男が叫ぶ。
 「オーケー、オーケー!! フォアボールよりいいぞー!!」
 世界一低い位置から投げる俊介よりさらに低いところから投げる男だ。
 野球解説者がよく言う。「ここはフォアボールがもっともよくないですねー」。水野とか。
 しかし、今回のような場合、果してフォアボールよりよかったのだろうか。
 どうなんだろう。みんなで考えてみよう。
 しかも、相手チームはうちの、さわやかサラダ、復帰コサッキー、本木、大久保という上位打線相手に「ひょっとして故意?」と思わせる四球を出し、その後ことごとくピンチを凌いできているのである。<br>  そういえば、カトーさんのサードライナーも惜しかったなあ……。
 発言の主はランニングホームランの後、何もなかったかのようにカトーさんを相手にブルペンで投げ込みを始めた。
 その回、けっきょく4失点。
 これでスコアは3回終わって5−0と大きくリードされてしまった。
 4回。ブルペンでの投げ込みのアピールもあって、世界一低い位置から投げる俊介よりさらに低いところから投げる男、MASAがマウンドに上がる。
 ついにあの男が……。
 誰もが恐怖におののく中、案外無難にアウトを取り、4回表無失点。
 けっこうやるじゃないか。
 その裏、ようやくWINSも四球2つに死球1つ、スターウォーズ軍団長大久保のヒットもあり、1点をもぎ取る。
 しかし、その後の一死満塁に、選手某と村ケンが内野ゴロ。
 うーん。要所を締める、相手投手を褒めるべきなのだろう。
 ああ、思い出した。一死満塁での某のショートゴロ。ライナー気味のいい当たりで、相手ショートがそれをはじく。強襲ヒットでもう1点!? そう思った瞬間、そのはじいたボールをショートがもう一回捕り、すかさずホームに投げて本塁封殺。
 これは相手の粘り強い守備力を褒めるしかあるまい。
 だが、ようやく1点入って5対1。まだまだいけるだろう。
 しかし、2イニング目に入ったMASAの様子がおかしい。いつかの上野公園のように、急にストライクが入らなくなってしまった。
 1点取られ、なおも二死二三塁。続く打者にもストライクが入らない。
 ここでフォアボールだったら交代だな。采配をふるう監督代行は、ベンチに戻っていたゴローを相手につぶやいた。
 ああ、その瞬間……。
 あろうことか次の投球でうっかりストライクが入ってしまい、狙いすました相手打者に強烈なヒットを打たれ、瞬く間に2点が入ってしまったのですよ、みなさん!!
 やっぱりオレたちは、ダメなのか。
 さらに次の打者に四球を与えたところで、WINSではめったに見られないイニング途中でのピッチャー交代。
 本来、この試合のストッパー予定だった本木が急遽登板、後続を抑え、この回なんとか3失点で終える。
 しかし、これで8対1。
 だが、まだうちには3回攻撃のチャンスがある。何度も何度も塁は埋めている。あと1本さえ出れば。
 5回裏。自らの投球の反省の意味もあったのか、先頭のMASAが珍しく選球眼よく四球で出塁。パパ山崎(今度、娘のジュリがCD発売? ん? DVDだったか?)はピッチャーゴロに倒れたものの、WHO選手も死球を受け、さらにこの日打撃好調だったゴローがライト前ヒットで続く。
 ん? ふつうここで1点くらいは入ってないか? なぜ入ってないんだ? ランニングに問題があるのでは?
 とりあえず一死満塁で、先ほどのチャンスで遊ゴに倒れたエースの打席。今季まだ安打がなく、ひょっとしてオレはもうヒットの打てない体になってしまったのか……そう思っていた52歳が、しぶとくライト前にポテン風の飛球を持っていく。
 前進して捕球しようとした相手ライトがこれを捕れず、さらに後方に逸らすというビッグプレゼントで二塁打。
 2点が入って、これで8対3。
 まだまだいけるぜー!!
 6回表を本木がほぼ完璧に抑え、その裏。
 先頭の軍団長がイージーなサードフライ。ああ、ダメか……と思ったらそれを落球!! あっ、しかし軍団長、ほとんど走っていない。
 えっー。
 ヤツの場合、野球経験が豊富なだけに、結果を早めに見切るクセがある。しかし、何があるかわからないのが草野球であり、人生だ。その後、ナインの罵声を背に必死に走って一塁セーフ。さらにカトーさんが、得意の水平打法(?)のナイスバッティングで出塁。パワフルなスイングが目立つH2選手も、ここは戦況を考え四球を選ぶ。
 ええで、ええでby上田監督。
 さらに相手エラー、MASAのクリーンヒット、パパの一塁ゴロの間にひとり生還などあって、ついに8対7と1点差!!
 二死だが、ランナーは一三塁。
 一打出れば同点、長打なら逆転まである。
 ああしかし、またしてもわれわれは勝利の女神に見放されたのか……。
 制限時間が激しく迫っていたのである。
 審判が無情にも告げる。
 「次のバッターが最終バッターです」
 その最終バッターは、WHO。そのあとに今日2安打のゴロー、2打点のエースが控えているが、とにかくWHOで終わり。しかも、四球を選んでも意味はない。アウトになってもいいから、とにかく打たなければ負けだ。
 四球になるまいと、ボール球にも手を出して粘るWHO。
 だがしかし、ここはやはり今季1分4敗の泥沼チームだった。
 三振、ゲームセット。
 勝てない。どうやっても勝てない。
 その6日後に、草野球の連敗くらいどうってことないという、その事実を思い知らされるとんでもないことが起きるとは、そのときは誰も知らなかった。

(ペン=本紙エース)


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