13/12/23 紅白戦

試合結果> <アルバム> <大納会> <二次会> <納会報> 募金1800円(年間−19円)

■12月23日(祝月)紅白戦

 「ゴローさん、それは入りませんよ……。ああっ、あふれちゃう!!」
 大納会の席。
 ヤング軍に参加した某女子選手から、おいしいひと言をいただきました。事務局Gはこのひと言で、2014年一年間をやりくりしていくことが可能だと思われる。
 ……何をやりくりするのだろう。

 おいしいひと言の兆候は、試合前からあった。
 大阪出張から直接参戦のエース古矢が、ユニフォームやグローブなどの入ったスーツケースをゴロゴロ引きずりながら隅田川沿いを歩いていると、斜め前方にデジカメを構え東京スカイツリーを撮ろうとしている女性ふたり組。
 推定年齢32歳。物見遊山の田舎者風とはひと味違う、上品なお嬢さまタイプのふたりだ。
 来るかな。
 男の直感のようなものがあった。
 「すみませーん、写真撮っていただけないですか」
 やはり来たか。
 「いいよー。カメラマンじゃないから、うまく撮れるかわからないけどねー」
 高田純次テイストの軽いノリで応える。
 カメラを手渡されたとき触れた、女性の冷たい指先がいい感じ(キモッ!!)。  遊歩道と隅田川をはさむ鉄柵を背に寄り添うふたり。もちろん、その後ろには東京スカイツリーがそそり立っている。
 「ねえ」
 地面に膝をつくようにしてカメラを構えたオヤジ(本日55歳の誕生日)が言う。
 「スカイツリーは入れなくていいの?」
 これがエロオヤジ特有の誘導尋問だと、お嬢さまたちは知るよしもなく。
 「ええっ!?(クスクス)」
 「入れて、入れてください!!」
 ……いただきました〜。
 さらにオヤジがたたみかける。
 「あれ? 先っちょが入らないな〜。なんでだろう? あっ、こうすればいいのか。あっ、入った入った!!」
 横位置に構えたカメラを縦位置にして、二度激射……ではなく激写したエース古矢。
 今頃、あのふたりはどうしているのだろう。
 雑誌の“たずね人”のコーナーに「12月23日に隅田川のほとりで写真を撮ってくれた、ダンディーなおじさまを探しています」と投稿していないだろうか。
 そんな投稿コーナー、今でもあるのだろうか。

 そんなこんなで試合が始まった。
 恒例のヤングVSアダルト、WINS紅白戦。例年以上に18人そろえるのに苦労したのは、『ヨンスポ』前号にも書いたが、サラダ選手、ブクロー選手が地方へJターン&Uターン、さらに監督&キャプテンも不在続きという現在のWINSを考えると、仕方のないことではある。
 誰か、助けに来てくれないか。
 そんな叫びを耳にして、やって来てくれたのは、どグサレ球団湯一路選手、大吉コモドアーズからイリエ選手(最近の試合で1日に6打数6安打という凄まじい記録を達成)、そしてどこにこんな逸材がいたのかという、大久保軍団の秘密兵器チカライシ選手。
 加えて(何をくわえるのか)、みんなのアイドル、コマコ&カスミン。

 1回表、当然の如くエース古矢がマウンドに上がるアダルトチーム。ヤングの一二番を3球ほどで料理し順調な立ち上がりに見えたが、三番西川の当たりがふらふらっとショート大久保の後ろに上がるポテンヒットに。
 「捕れただろー」
 サードを守る盟友チカライシがおだやかに声をかける。
 さらに、四番コサッキーのボテボテのゴロがショートに。無難にさばこうとしたためか、送球が間に合わず内野安打。
 ん? 紅白戦恒例のスパイ疑惑が……。
 そして、ヤング初の鋭い当たりが五番村ケンのバットから生まれる。
 センターを襲うライナー。村上1号が果敢に前進、前進、前進!! ……するも、グローブに当てながら、大きく弾く。これでヤング、2点先取。
 まあ、こんなもんだろう。

 その裏、西川先発というおおかたの予想を裏切り、ヤングのマウンドにはWHOことミヤタが。
 「おいおい、試合、終わんのかあ?」
 「捨て試合か、ヤング!?」
 ヘイトスピーチがミヤタを襲う。
 しかし、助っ人イリエ選手が得た四球、チカライシ選手のヒット(これでまず1点)、人生で初めてバットを握ったという(!!)カスミンの結果送りバントとなったサードゴロ、さらに自ら受けた死球で作った一死二三塁のチャンスを、その死球出塁大久保がミヤタの牽制で刺されるという大ボーンヘッド。
 二三塁の二塁走者が、なぜ牽制死!?
 やはりスパ……。
 そこから確か暴投で同点に追いついたものの、四球で出たカトー選手が、半歩もリードしていないというのに、またも不可解な牽制死でチェンジ。
 なんだ、この試合。
 あとから思えば、この2つのプレイがなければ、試合は1回で決まっていたのかもしれない。
 そして、アダルトチームは、ベンチの野次が敵味方関係なくうるさすぎて、プレイに集中できないという傾向にあるのかもしれない。

 2回表はエース古矢がいつもの軟投、ヤング三者凡退。見逃せないのは、MASAピーゴロ、ミヤタが三塁ファウルフライ、コマコ選手がやはりサードゴロと、スパ○疑惑選手の守備位置に打たせなかったことだろう。
 コマコは意外に足が速かった。
 その裏、ヤングは早々に投手交代。まあ、当然か。
 ピッチャーTOMに対して、四球で出塁して盗塁を決めた村上1号を二塁に置き、エース古矢が左中間のど真ん中に落ちるテキサスリーガーズヒット(こう言うとかっこいい)で勝ち越し。投手の失策でさらに加点。
 2−4とアダルトがリード。
 3回表。ショート内野安打(これもなー)を放った西川選手が盗塁をした際、セカンドのパパ山崎がキャッチャーのゴローに猛アピール。
 「来い! 来い! 投げて来い!!」
 投げたが、ワンバウンドを捕れず後逸、カバーに入っていたセンター村上1号までもがその送球を捕れず、ボールは外野を転々。
 西川選手が、長駆ホームイン!!
 おい!!

 3回裏、ヤング三番手コサッキーの乱調もあり、ゴロー押し出しでアダルト1点。
 3回を終わって3−5。
 そして4回。これまで、ほとんどエースの軟投に合っていなかったヤング打線。一死から島田選手が、ゆるいカーブに軽くバットを出すと、これが鋭い当たりのヒットに。
 さらに、MASAが追い込まれたあと、これもスライダーにうまくバットを合わせ左中間に低いライナー。
 ワンバウンドかツーバウンドで右翼カトーさんが「ここは俺が!!」と捕るかに見えたが、センターの村上1号も黙ってはいなかった。
 カトー選手のすぐ横まで進出「あなた、捕らないの!?」「いや、ここは俺が捕るよ!!」「じゃあ、俺がやるよ!!」。
 この間、0・5秒。
 そして捕球寸前、お約束のあれが出た。
 「どうぞ、どうぞ!!」
 打球は哀しいほど遠くに転がっていってしまった。
 記録上はツーランホームラン。
 まあ、当たりは鋭くはあった。

 これでとうとう5−5の同点だ。
 しかし、大人はめげません。
 アダルトチームはその裏、チカライシ選手のこの日2安打目を足がかりに、相手の野選などを利して勝ち越し、5−6。
 そしてアダルトのマウンドには、とうとう出た!! 今日のための秘密兵器チカライシ選手!!
   しかし、その分のハンデといってはナニだが、サードには超久々に古矢。
 さっそく、コサッキーのゴロが三塁線を襲う。
 巨人の村田をイメージした古矢がダッシュ、グラブで打球を華麗にすくい上げ、一塁にジャンピングスロー!!
 とはいかなかった。
 グラブの先っちょに当たったボールが、ヤングのたむろする三塁ベンチ前に転がる。
 「おいおい、さっきまでのサードとずいぶん違うぞー!!」
 「サード狙いでいこう、サード狙いで!!」
 逆ヘイトスピーチが、本日55歳の誕生日を迎えたエースを襲う。ここは年長者を重んじる儒教の国ではないのか。……違うな、たぶん。
 しかし、エラーをものともしない秘密兵器の力投。
 なにしろ、この回の3つのアウトは三振、投ゴ、三振。
 ぐはははははは、悔しかったらもっと三塁に打ってみろ!!
 しかし、対するヤングもいよいよ、ミスター“顔を出せない偉人伝”(意味不明)西川投手の登板。5回裏を投ゴ、一ゴ、投ゴとあっさり三者凡退に討ちとる。
 6回もお互い三者凡退。
 えーっ、これ、本当にWINSの紅白戦か?

 7回に大久保軍団長がようやくヒットを放ち一矢を報いたが、けっきょく5回以降は投手に完璧に抑えられ、お互い無得点。
 しかしこれは、久々参戦のパパ山崎(いや、ティティに息子が生まれ今や爺山崎か)がセカンドゴロを3つ堅実にさばいたことと合わせ、来年に向けての大きな収穫と言えるだろう。
 5対6でアダルトの勝利。
 記録に残る失策は少なく、意外に締まった試合だったかもしれない。
 なにより今年も、ジャストではあったが18人そろい楽しく試合ができたということが素晴らしい。

 ちなみにエース古矢は前述の通り大阪出張から直接の球場入り。
 じつは前日の夜、取材相手の某大物ミュージシャンが食事中に「明日の午前中、帰る前に撮影しようか」と急遽提案。
 スタッフには最初に断ってあったものの、あせるエース古矢。
 「すみません、明日僕は用事があって9時半の新幹線で帰らないと……」
 「用事ってなんなの?」
 「えーと……草野球チームの紅白戦があって……」
 「なにー!! 草野球!?」
 みなさん、仕事がなくなったらよろしくお願いします。

 追伸。翌日24日、その大物ミュージシャンからメールが。
 「紅白戦のピッチング、どうでしたか?」
 ほっ。
 いや、どうかな……。

ペン=本紙エース


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