18/11/23 ヘリオス戦

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■11月23日(金祝)ヘリオス戦

「最近、なんだかよく眠れる」
 そう思っているWINSナインも多いのではないだろうか。
 なぜならここ1か月以上、夜中に突然スタスタと窓の外に近づく嫌な足音がないからだ。
 そして久しぶりに聞く足音。
 安心しきったナインの耳にそれは、サンタのおじさんの足音に聞こえるのかもしれない。「今年はどんなプレゼントが届くのかな」。
 しかし……。
 バサッ。
 届いたのは、そう、子どもの頃、建築現場のプレハブの裏で拾ったエロ本を思わせる、湿ってページがくっついていて、触るとバッチイ気もするけど、ページを開かざるを得ない、そんな……。
 『恐怖新聞』ことヨンスポだ。
 ひいいいいいいいいいっ。
 2018年WINS最終試合のことなど、もうみんな忘れているのだろう。
 平成が終わろうとしている今、あの「平成」の書をかかげた小渕首相が亡くなったとき、田中眞紀子が「小渕さんがオダブツさんになっちゃった」と語ったことを飲み屋で話題にする人は、どれだけいるだろう。
 しかし、「忘れる」という字は、心を亡くすと書くのです。
 2018年WINS最終試合は、11月23日(金・祝)、まだ黄金色に輝く銀杏がまぶしい晩秋におこなわれた。
 ドゥー・ユー・リメンバー? ドゥユドゥユリメンバミー?byYUKI(岡崎友紀)
 こうしてときおり平成、ではなく昭和の名曲がはさまれるのもヨンスポの意味もない特徴だ。
この最終戦、じつは水面下でとんでもない謀略密約裏切りが渦巻いていたことを知る人は少ないだろう。
 試合一週間前。
 参加メンバーの状況を見た初老の男が、某機関にメールを送った。
「おい、まだ9人ジャストだし、このメンバーじゃ内野、とくに三遊間を守る選手が皆無だ。まだ参加表明していないヤツはどうなっているんだ」
 相手から返ってきたメールはこうだった。
「もう無理だと思いますねー。大久保さんも返事がないですし」
 初老の男はすかさずメールを送り返した。
「じゃあ、9人いるけど、ネットで助っ人要請だ。ただし、助っ人が確保できても、報告は監督だけにしておけ」
 初老の男は、今回参加を表明している、高校時代の同級生を思い浮かべていた。ヤツは人数がそろうとすぐ「じゃあ、俺なんか行かなくてもいいよな」などと言い出すタイプだ。昔からそうだった。オレが彼女と一緒に下校するか迷っていたあの日も……(つーか、オレって誰よ?)。
 そして、頼りになる助っ人3人を確保できた、試合2日ほど前だっただろうか。
 《スケかく》を見ると、大久保選手から「2人連れていきます」との参加表明。
 これで15人。初老の男は「うん、少ないより全然いい。全然いいですよ」と、船越英二がやった校長先生のような声でつぶやいた。
 某機関からはこんなメールが届いた。
「どうしますー。まあ、私は打席も守備もなくていいんですけどねー」
 初老の男はすぐに、大洋ホエールズ長崎と中日ドラゴンズ田尾の首位打者争いを思い出した(うーん、話がすべて昭和である)。
 「おまえ〜〜〜〜、現時点で打率トップだから、打席に立たずに逃げ切ろうとしてるな〜〜〜〜〜!」
 この試合前、たしか某機関の管理を任されている選手の打率は3割6分超え。次位はタツキ選手だが、最終戦には参加しない。エース古矢など、何人かの選手が2打数2安打以上を残せば逆転の目もあったが、とにかくゴロー(あっ、言っちゃった)にとっては、2018年のシーズンを首位打者で、しかも生涯初となる首位打者で逃げ切る、かっこうの言い訳ができたのだ。
 つまり……? 
 ああ、一週間前にわざわざ大久保選手の名前まで挙げて「参加できないだろう」という雰囲気を醸し出し、オレに助っ人要請をさせるようマニュピレートしていたんだな……。
 マヌケそうな顔をして、じつは今の政治家たちに見習わせたいほどの策士ぶりである。
 しかし、ゴローの汚れた首位打者計画も、試合当日の杉本監督の采配により、あっさりと打ち砕かれた。
「14人いるけど(MASA急病により欠場)、打席には全員立つから」
 えーっ。
 それでも粘るゴロー。
 打席に立つと、徹底的な待球作戦。第1打席は、まんまと四球を選んだ。これで首位打者ほぼ確定か?
 しかし、神様は見ていました。14人全員打席の上に淡白な攻撃で、二打席目は回ってこないと思っていたところに、うっかり回ってきてしまったのです。
 ひいいいいいいいいっ。
 1球目、ど真ん中のストレートを見逃し。
 この粘着気質。もっとも女にモテないタイプだろう。
 詳しい展開は忘れたが、2ストライク目はファール。いや、1球目をわざとらしい空振りで、ど真ん中のセカンドストライクを見逃しだったか?
 そして。
 追い込まれた最後はスライダーで軽くひねられて三振!
 足し算引き算、2ケタのかけ算割り算まではできるゴローの脳が、瞬時に自身の打率をはじき出した。
 「終わった……」
 この試合、ネットを介して集まってくれた助っ人たちの健闘も記しておくべきだろう。
 先発登板、サウスポーの横手投げという珍しいスタイルから好投した、どことなくスーパーボランティア尾畠春夫さんを思い起こさせる雰囲気の山下選手。
 ヘリオス戦2試合連続で参加してくれた好漢、キャッチャーも務めてくれた中野茂選手(仲野茂だったら、アナーキーのボーカルだ。♪ダダダ、団地のオバサン〜)。
 四人目の投手として好投、「ね、いいピッチングするでしょ。僕が監督に進言したんですよ」とカトーさんを喜ばせた水口選手。
 みんな、ありがとう!
 しかし、純正WINSの外野陣が惨憺たるありさまだった。
 とくにセンターを守っていたWHOことミヤタ。今日は、嫁のコマコ、娘のウタコも球場にかけつけているというのに、フライの落下点に入ったと思ったら、突然しゃがみ込み捕球できず。
 「太陽が目に入ったのか〜〜!?」最初はフォローしていたベンチも、グラブに打球を入れたあとの落球という二度目のミスには、声を失った。
 じつは11月の初旬、闘病をしつつJAZZピアニストとして活躍していたコマコのお父さん、土井一郎氏が亡くなった。ちなみに2016年の『バウンスバック/土井一郎』は、全曲オリジナルで、気持ちのいい演奏のなかに攻撃的な姿勢も見える素晴らしいアルバムだ(ピアノはもちろん、ベースもドラムもすげーいい音!)。しかも、ジャケットデザインはコマコ! クレジットはないが、描かれている肖像画もコマコの手によるものだろう。
 泣き義父に捧げる落球。
 阪神タイガースの熱狂的なファンだったというお義父さんも草葉の陰で笑ってくれただろうか。
 「むこ殿、まだまだ修行だ」
 天からの、そんな叱咤激励だったのかもしれない。
 大きな声では言いたくないが、大久保軍団の、WINSユニフォームを持たない準構成員、つまり“半グレ”軍団のひとりである、しげお選手のレフト守備も、まあ、簡単に捕れる当たりはなかったかもしれないが、ほめられたものではなかった。
 同じく大久保“半グレ”軍団のひとり、力石くんのせっかくの力投も、味方守備のほころびにより、報われなかった。
 結果は、0−16という今年最大の敗北。
 投手はいいピッチングをしていたのに、この結果。守備もそうだが、安打が大久保、山下、ウサミ各選手に1本ずつの合計3本(そのうち2本は内野安打)では、勝てるはずもない。もう何度、相手エース平松さんの魔球にやられたことか。
 WINSの今季は、2勝8敗1分け。
 勝ち&引き分けの試合は、いずれも7点取っていることを特筆しておこう。
 相手のミスや四球があって、そこそこヒットも出ると7点取れるが、相手のミスも四球も少ないヘリオス戦になるとヒットさえ出なくなってしまう。これは来季への課題だろう。
 課題といえば、最後まで首位打者にしがみつこうとしていたゴロー、けっきょくわずか6打点で2018年の打点王(最年長打点王記録?)になってしまったエース古矢だが、このふたり、いつも打順は八番、九番だ。  つまり、これは監督の采……ミ……?
 いや、打順を上げてほしいわけではない。上位打線の奮起を待とう。
 最後に、試合後、ある第三者がエースの耳元で、そっとつぶやいたひと言を記してペンを置く。
「たまにはあのピッチャーを打ち砕いてやってくださいよ」
 これはけっして強い相手をディスった言葉ではなく、不甲斐ないWINSへのエールである。がんばれ、オレたち!

●ペン=本紙エース

追伸
 試合後、三鷹駅までバスで出たナインは、いつもの『目利きの銀次』に並ぶものの、延々待たされそうな予感に撤退、次に『魚民』などが入るビルにたどり着くが、ここは昼時営業は寿司系のみ。ああ、これでは宴会難民、店を求めてさまよい歩く宴会ゾンビになってしまう……。
 そこでエースが思い出したのが、バスで三鷹駅に出るときいつも車窓から見ていた中華食堂。さすがですなー、エースはバスに乗っているときも居眠りなどせず周囲に目を配っている! 
そしてその店『中華料理 大黒屋』が予想以上によかった! 
 しかし、最初はちょっと風雲急を告げるムードでもあった。
 入店し、大テーブルに案内されたとき、目の前に立つ女店員に「オレたちのでっかい荷物、どこへ置けばいいですか?」とたずねたエース。しかし、女店員は無言でエースをにらむばかり。「えっ、なにこれ……ヤバい店選んじゃった?」心の中でつぶやくエース。
 仕方なく大テーブルの横に荷物を置いたが、その後の注文に対するきちんとした態度などを考えると、どうやら「何言ってんの、この人。こんな店にホテルの宴会場みたいなクロークがあるとでも思ってるのかしら。客もほとんどいないんだし、好きなとこにおけばいいでしょ」とでも思っていたのだろう。
 「なんか、小津の映画に出てくる気の強い美人女みたいだよな、あの店員」エースが言うと「岡田茉莉子ですか?」と答えるゴロー。このあたりの阿吽の呼吸がゴローのいいところだ。そして出てきた餃子。銀皿に乗った大ぶりなそれをほおばった、今回本編には一度も出てきていない村上1号(そういえばここにはいない村ケンも出てきていないが)が「これ、この餃子! うまいっす! 皮が厚くて、でも、ぷりっと歯ごたえがよくて!」。
 「ホントだ、うめー!」とゴロー。「こりゃ、うまいな」ノンアルビールを飲みながら監督もご満悦。WHOことミヤタは、すでに泣いている。
 そのあとに出てきた、妙に肉が太い青椒肉絲。もう忘れたが麻婆豆腐、勢いに乗って頼んだカツカレー。「この店、全部うまいですよ!」一同が口々に叫ぶ。その叫びにつられたのか、奥から今度は笠智衆の元気版みたいなおじいさんが登場。
 「おいしいですか? 店を継いでくれた息子が作ってるの。ボク? ボクは83歳(85歳だったか?) 3時(4時だったかな)で一度休憩だけど、大丈夫、ゆっくり食べていいですよ〜」
 えっ、ゆっくり……って、ひょっとして前号ヨンスポで「急がなくていいですよ〜」と言っていた、あの謎の老人……!?
 あっ、やばい。図書館に本を借りに行くはずが、もう書きはじめて4時間も経っちゃったよ……。


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